亡くなった方の財産を分割する際に、遺言書がない場合には相続人全員が参加し【遺産分割協議】を行います。
この【遺産分割協議】では、遺産の相続方法を相続人全員で話し合うことで、誰がどの財産を相続するかとういうことを細かく決め、相続人全員が合意しまとめたものが【遺産分割協議書】になります。
法律上、遺産分割協議書は必ず作成しなければならない訳ではありません。
ですが、誰がどの財産を相続するなど遺産分割協議で決まった内容を口約束のみですと後々になって、
「合意していない」「言った、言ってない」
といったトラブルに発展することも珍しくありません。
さらに、不動産や自動車、預貯金などの名義変更手続きを行う際には必ず必要となることや、相続財産の名義を変更せずに放置していると将来的に相続関係をより複雑にしてしまうことからも、実質相続が発生した際には必ず作成すべき書類だといえます。
遺言書がある場合には、基本的には亡くなった方の意思を尊重し、遺言書の内容に沿って財産を配分するのですが、この遺言書の内容も相続人全員の同意があれば変更可能な場合や、遺言書で第三者の遺言執行者が選任されている場合、相続人以外に包括遺贈されている場合など法的にも難しいケースもあるため、一度専門家にご相談されると良いでしょう。
遺産分割は、相続人の調査や相続財産の調査を含めると、膨大な手続きと時間を要します。
具体的に相続人の調査の場合、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて収集し相続関係を戸籍上で明らかにし相続人を確定させます。
その後もしくは平行して相続財産の調査を行います。この調査では、不動産や預貯金のみならず、債務など幅広く調査しなければなりません。
そして相続人と相続財産が確定したのちに、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する流れになります。
すべての手続きはご自身で行うこともできますが、専門家に依頼することでご自身ではみつけることができなかった遠隔地の不動産が見つかるなど、結果的に良いケースもありますので、費用や時間などのコストを比較されてみると良いでしょう。
遺産分割協議書に作成期限はありません。
ただし、相続税の申告期限が
「相続開始を知った日の翌日から10カ月」
と定められています。
ですので、名義変更手続き等をスムーズに進める為にも、8か月くらいを目処に作成しておくと良いでしょう。
遺産分割協議書を作成する際に決まった様式や作成方法は特になく、パソコンでも手書きでも構いませんし、利用する用紙やペンなども自由です。
ですが、金融機関や税務署などに提出するため、第三者にも遺産の配分方法が明確に伝わるものでなければなりません。しかも、内容に不備があれば、協議書が無効とされ、相続手続きが進まない原因となりますので気を付けましょう。
ご自身で作成される際は、ひな形を参考にしながら作成すると良いと思いますので、主に気を付けるべきポイントを記載したひな形をご用意しましたので、ご利用ください。
表題を忘れずに
基本的なことですが、何の書類か一目でわかるように表題や日付をしっかり入れましょう。
どなたが亡くなったのか情報を記載
どこのどなたが、どのような場所で、いつ亡くなったのか(名前、逝去日、最後の住所、本拠地)などわかりやすく記載しましょう。
不動産(土地建物)は登記簿どおり記載
土地なら所在地、地番と土地の種類、地積を書きます。
建物の場合、所在地、家屋番号、建物の構造、面積を書きます。
不動産全部事項証明書を取得し、そちらを参考にしながら書き写しましょう。
後で遺産などが発見された場合に備えて
遺産分割協議を行う際に、しっかりとした相続財産調査を行い、できる限り漏れがないように調べておくことが大前提ですが、どうしても発見できずに、のちに発見されるケースもあります。
そういった状況に備えて、後から見つかった遺産をどのように取り扱うかも明らかにしておくことで、遺産分割協議をやり直すことなく、余計なトラブルを未然に防ぐことができます。
相続人全員が住所と、署名捺印を!
遺産分割協議書の作成者は「相続人全員」になりますので、相続人全員の署名捺印が必要になります。
押印する印鑑は必ず実印を使いましょう。
遺産分割協議書が複数ページに及ぶ場合は、ページの間に契印を全員が押印します。
製本化することで押印箇所を減らすこともできます。
遺産分割協議書は名義変更などに必要となる書類ですので、内容は戸籍や登記簿などの公的書類の内容を正しく記載し、他者からも分かりやすく記載することが大事になってきます。
一生に何度も作成するものではないと思いますので、安心していい相続を行うためにも専門家にご依頼や相談などされると良いのではないでしょうか。
当デサフィオ行政書士事務所も無料相談や遺産分割協議書の作成を請け負っておりますので、守秘義務の厳しい行政書士にご相談ください。